一般車の運転でも「性格が出る」といわれるブレーキのかけ方ですが、タクシーやハイヤーでも気にするお客様は少なくありません。ブレーキを踏み込む際にお客様に配慮ができる「プロの運転」とはどのようなものなのでしょうか?
■ブレーキの掛け方で乗り心地は決まる
「車の運転が上手なタクシーで良かった」「さすがはハイヤーだけあって運転が丁寧」お客様がそんな感想を持つきっかけとなるのは、多くの場合ブレーキの掛け方ひとつといわれています。確かに正確な道順を把握していて、希望する時間内に目的地にたどりつけることも大事です。しかし、その道のりで何度も荒々しくブレーキを踏まれては、お客様が良い気持ちをするわけはありません。
もちろん、とにかく急いで欲しいというお客様もいらっしゃいます。そうとはいっても守らなければいけない制限速度もありますし、つい運転もあらくなってしまいがちです。しかし、そのようなときだからこそ、より丁寧な運転を心がけることができてこそプロの運転手なのです。とくにブレーキは運転の荒さが出やすいため注意しなければいけません。
あるベテランのハイヤー運転手は、ブレーキを踏むときにギアが四速、三速、二速と切り替わるときのちょっとした振動を感じるといいます。排気量の多いハイヤーならば人によっては感じない程度の微弱な揺れにまで敏感なセンスが問われるのです。
■乗り心地の良さは細部に渡る配慮から
いっそう気をつけなくてはいけないのが、忙しい方、疲れている方などを乗せたときです。ブレーキの踏み方はもちろんのこと、舗装がガタガタしている部分をよけるようにして、できるだけ快適な乗り心地を提供するのがプロの仕事といえるでしょう。
運転技術だけではなく、挨拶、表情、ちょっとした態度などを改善することでお客様の満足度がアップすることもあります。目的地へお客様を運ぶだけが運転手の仕事ではないのです。
お客様によって希望していることは違います。どんなラジオを聞きたいのか、どれぐらいの温度がいいのか、さりげなく声をかけてみるのも良いでしょう。ただし「タクシーの運転手さんに話しかけられて疲れた」という意見も多々あるため、お客様がコミュニケーションを必要としているかどうか見極める必要もあります。
ひとりひとりのお客様が満足していただける乗り心地を作るためには、運転手の細部に渡る配慮が欠かせません。100人のお客様がいれば100通りのサービスを提供できる、非常にクリエイティブな仕事なのではないでしょうか。
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